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【記事紹介】白鳥健二氏「全盲の男性が美術鑑賞を変える あの日のデートが広げてくれた世界」

2021.09.15

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本センターと長年親交のある白鳥健二氏の記事が朝日新聞に掲載されています
朝日新聞の記事はこちら
白鳥氏は全盲のマッサージ師であり、自他ともに認める「美術館好き」。
足繁く美術館に通う中で「目の見えない人がどのように絵を鑑賞するのか」という問い/方法を生み出したそうです。

下記リンク先では、本学で白鳥氏に講義していただいた際のレポートをお読みいただけます。
■アート・プロデュース学科 特別講義「盲人である幸せ ―手持ちのカードを最大限に活かす―」
特別講義の様子はこちら


白鳥氏の話は、裏を返すと、目の見えている人は美術作品の何を理解し、知ったのだろうかという問いにも繋がります。

例えば、作品をみて「これは気持ちの良い朝の風が吹く草原の絵だ」と脳で認識をした場合、それは他の人にも共通する事実でしょうか?この例の場合、絵そのものに「気持ちの良い朝の風」を描いたという事実はありません。他の鑑賞者はその風を「気持ち良い」と感じるとは限りませんし、そもそも同じ空の描き方を見ても、異なる時間帯や風量を想像することもできるからです。そうではなくて、鑑賞する中で立ち現れたのは「その絵をみて気持ち良い朝を想像する私がいた」という事実です。

私たちは、経験をもとに物事を認識します。時には、とんでもない誤解や偏見を持つこともあります。意識的にみること、事実と解釈を分けて考えること、他の人の声にも耳を傾けることが、作品鑑賞やファシリテーション、そして日常で行う他者とのコミュニケーションにとっても重要ではないでしょうか。


今年に入り、白鳥氏との作品鑑賞をテーマにした映画や書籍が次々と公開されています。
■ドキュメンタリー映画「白い鳥」
 共同監督:三好大輔 川内有緒  製作・著作:アルプスピクチャーズ
映画の詳細はこちら

■書籍「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」
 著者:川内有緒 価格:2,310円(税込)
書籍の詳細はこちら


最後に、
来月10月福岡アジア美術館で開催されるイベント「アートを介した対話プログラム」に本センターの伊達と春日が白鳥氏とともに登壇します。

それぞれ異なるプログラムを担当していますが、共通しているのは、
美術鑑賞を通した「対話」が、年齢や性別、障がいなどに関わらず、さまざまな人をつなぐ可能性を持つということ。

本事業では現在参加者を募集しています。
→詳細はこちら