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VTSセミナー 主催者からのメッセージ

2011.03.19

OTHERS

 2011311日、日本列島は東日本大震災に見舞われました。その後の一連の地震や原発事故など未曾有の大災害に、いまだ先行きのみえない不安な日々が続いています。被災された方々、ならびに関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、犠牲になられた方々に心より哀悼の意を表します。

このような経験したこともない未知の事態にあって、私たちは互いに連携し、満足とはいえない情報の数々やさまざまな風評、さらには目に映るこの現実を、私たち自身で見極め、考え、ともに生き抜いていくことを迫られています。コミュニケーション力や観察力、批判的思考力といった対話型の鑑賞が育成する能力は、いまや目の前の現実を文字通り「生きる力」として、私たちに切実なものとなりました。

本連続セミナーは、アメリカで研究・開発され、現在では世界の様々な国で用いられているヴィジュアル・シンキング・ストラテジー(VTS)の牽引役、フィリップ・ヤノウィン氏を講師としてお招きし、日本の教育現場や美術館における鑑賞教育の質の向上を目指すものです。

しかしながら、その趣旨は美術鑑賞教育の枠に留まるものではなく、ご参加いただく皆さまが、アートの語源である「生きる術」を磨き、そして、それぞれの現場で「生きる術」を育てる活動に生かしていただけることを願うものです。

現在の状況を踏まえ、セミナーの開催延期も検討いたしました。しかし、直接の被災地ではない京都において、今、何ができるだろうかと考えました結果、このような状況だからこそ、コミュニケーションやリテラシーといった「生きる力」の育成を考えることが必要であると判断し、開催に踏み切ることにいたしました。こうした考えは、このような時期にあえて海外からの来日を敢行してくださるヤノウィン氏とも共有するものです。

ご参加いただく皆さまにおかれましてはご心労もおありかと存じますが、本セミナーの趣旨にご賛同いただけますこと、また、皆さまの今後の活動にとって実り多いものとなりますことを心より願っております。

 


VTSジャパン実行委員会委員長

京都造形芸術大学(現京都芸術大学)

福 のり子

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VTSジャパン実行委員会事務局

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